マキーラ トウキョウは、赤羽の、賑やかな東口とは反対側、南口から数分の閑静な区画にある一軒家レストランである。 扉を開けると、広いオープンキッチンと、大きな木のカウンターからなる落ち着きのある空間が、私たちを出迎えてくれる。夜のコースは「お任せ」の1コースのみ。席に着くと、まずは料理に合うワイン選びから。シェフに相談しながらおすすめの1本を選ぶ。シェフは安斎怜さん、セビージャの「マキーラ」で修行を積んだ、気鋭のシェフである。 スープに始まり、サラダと前菜が2品、魚料理、肉料理、デザートが供されるが、どれもシェフの工夫が感じられる美しいコースだ。 「スペイン料理といえば、パエリアやアヒージョ、という日本の認識を変えたい、スペインの今を味わって、感じて欲しいんです。」と安斎さん。自ら感じたスペインに、東京の素材との出会いによって、新たな料理を創作するのが、マキーラ トウキョウである。 例えばサルモレホは、アンダルシアの定番スープだが、春菊とスナップエンドウのサラダのソースとして供されるのが新しい。魚の皿は、マグロにワカモレを添えて。フレッシュなアボガドと、香ばしく焼かれたロメスコスや菜の花の野菜たち、マグロの組み合わせが複雑に混じり合い、美味であった。 カウンターの向こうでは、シェフが料理をする様子がうかがえる。出来上がった料理についての説明や感想なども、同時進行的に、間断なくシェフと話をすることができる。「美味しい食事をして欲しいし、その話題で楽しい時間を過ごして欲しい」というのがこの店のコンセプトだ。 使う野菜等は「両親の畑で収穫したものです。」と説明を受けるものも多く、やはり、それは文句なしにうまい。野菜の種類や、調理法、組合せなどについても「驚いた!」「これはいいアイディア」などと、シェフとの話題もはずむ。 さて、カウンターなので少人数での利用に限るかというと、さにあらず。立食パーティや、貸し切りなどの利用についてもぜひ相談を、とのことである。また、子供連れでの訪問もぜひ申し出を。さらには、食事は他で済ませてしまった、という残念な大人たちのためには、バルとしての二次利用も企画中とのこと。まずは予約時に相談をするのが良さそうだ。 さて、我々はというと、3人でワイン1本をあけ、果てにはデザートワインまでいただき、美味しい料理と贅沢な時間に、大満足の一夜を過ごしたのでありました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−マキーラ トウキョウ 東京都北区赤羽西1-17-1-10TEL:03-4283-7296営業時間 17:00~21:30(最終入店)定休日 火曜日最寄駅 赤羽(JR埼京線・京浜東北線・湘南新宿ライン・東北本線)予算 6,500円〜(チャージ300円)
この日は、世田谷アートタウン2022『三茶de大道芸』に出かける。たくさんの大道芸人が路上でパフォーマンスを行う無料イベントだ。大道芸というものは時の運、どこでどんなパフォーマンスを見られるかはわからないものだが、最近はタイムスケジュールがあって、コロナ対策のため、リストバンドで入場者の人数を管理するなど、工夫がされている。 お目当てはフラメンコ大道芸ユニット「オジロス」。「オジロス」とは「Los ojillos negros(黒い瞳)」の略。踊りの正木清香、NOBU(池森暢昌)、ギターの徳永康次郎、カンテの小松美保、ダニエル・リコらによるフラメンコの大道芸ユニットである。 会場はアーケードのある「ふれあい広場」。焼きそばやソーセージ、ビールなども売られていて、ちょっとしたお祭り気分。子供連れやカップル、年配の方も。いつものフラメンコライブの会場とは随分と雰囲気が違う。 大きな木の下でのパフォーマンス。出し物は「アレグリアス」に「ソレア」「セビジャーナス」など。私たちがよく知る流れである。周りの観客がどう見ているのか、感じているのかが気にかかる。終わったところで、オジロスに話をうかがった。 3年ほど前、ひょんなことから「ヘブンアーティスト」という文化振興を支援する団体に誘われて、参加することになったという。 「初めてフラメンコを見る人がほとんどなので、まずそこが違います。表現もちょっと大きくなるというか、ガツンと決めるとワッと湧いたりして、面白いですよ。」と正木さん。しかし演目はオーソドックスなフラメンコ。本質は変えることなく、初めて見る人に伝えたいとのことなのだ。 「音は空に飛んでいってしまうし、照明もないし、ギターもパワー系というか、メンタルで繋ぎ止める感じです(笑)。」とはギタリストの康次郎さん。カンテの小松さんも「お客さんとの距離が近い。話しかけてくれる方もいて新しい経験。」と大変ながら楽しそうである。 コンパネも音響装置も持っての移動、普段のライブと異なり、大変なことも多々あるが、大勢の人たちに、初めてフラメンコを届けることの楽しさが伝わってくる。 お手製の衣装で臨むNOBUさん、「僕は普段と変わらないけど」と笑っていたけれど、大空の下の白いスーツでのアレグリアスは眩しく、大道芸ならでは、と思ったのでありました。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−オジロス オジロスの詳しいスケジュールはオジロス ホームページでご確認を!https://losojillosnegros.wixsite.com/mysite-1 出演のご依頼など、お問い合わせはlosojillosnegros@gmail.com
表参道から青山通り沿いに、外苑方向に少し歩いたところに「sangria(サングリア)」がある。 階段を上がって扉を開けてもらうと、大きな白い噴水が目に飛び込んでくる。青山通り側の窓からの眺めと、噴水の水音、スペインタイルをあしらった調度などが、なんともスペインらしい雰囲気である。 sangriaは、その本店が静岡市の海の見える久能海岸沿いに有り、ほかにも静岡県内に2店舗を構えるグループである。本店は1975年創業というから、当初はスペイン料理の何たるかも認知される前であったろう。スペイン料理を広めたパイオニアであり、老舗であると言えるのだろうと思う。 さて、ここ青山店も今年で8年を迎える。「サングリアの味を全国の方に食べていただきたい。」との方針のもと、青山店も静岡サングリアの味を踏襲している。 一番のおすすめは、国際パエリアコンクール、スペイン大会で入賞を果たしたというパエリア。フィデア(パスタのパエリア)を含め、常時8種類を提供する。 また、グランドメニューは「海老のカタラン風」や「イカの墨煮」、肉料理なら「ガーリックチキン」が人気。海老もイカも、ソースが旨く、パンにつけて全て平らげたい。 我々は、誰と楽しむのか、どんなシチュエーションで利用するのかによって店を使い分けるという発想になるのであるが、この店はそのようなシチュエーションについても柔軟に対応可能。テーブル席の他に、4人から利用可能な個室、ゆったり過ごせるソファ席、2人で楽しむカウンター席、(カップル同士は仕切りで区切られている)があり、シチュエーション、人数で選ぶことができる。 青山店では、コロナ対応以前ではあるが、ギターのライブなども行われていたそう。また、本店ではフラメンコライブも開催されていたとか。海辺のフラメンコも良いなあと、静岡にも行ってみたいと思いを馳せつつ帰路に着いたのであった。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− sangria 青山店 〒107-0061 東京都港区北青山3-5-14 青山鈴木硝子ビル2F 予約専用:TEL:03-3478-2001 東京メトロ銀座線・千代田線・半蔵門線 表参道駅A3出口 徒歩2分 営業時間 月〜木・日・祭日 11時〜22時(Lo.21時) 金・土 11時〜22時半(Lo.21時半) ※平日、土日祭日ランチコースは11時〜14時、以降は通常メニュー 定休日:12/31、1/1、1/2
浦安に「美味しい」スペイン料理店があるというので訪れた。この辺りで「スペイン料理店といえばココ」だという。 駅からすぐ、静かな小径の奥にラ ピカーダ デ トレスはあった。扉を開くと、右には酒瓶が並ぶバーカウンター、左は落ち着いた感じのテーブル席。都心にこそスペイン料理店は増えた感があるが、住宅圏でのレストランは未だ、お目にかかれないものである。 重厚な木の天井のダイニングは、落ち着きを感じさせ、居心地が良く、ゆっくりと食事ができる。また、酒類の種類が豊富で、ビール70種(世界15か国)、ワイン350種(地下にワインセラー有り)、ウィスキーなど。日本酒と焼酎以外は何でも、というから驚きだ。 自慢の料理は、10種類ものパエリア(3種ほどは季節で変わる)と蝦夷鹿などのジビエ料理。そのほかにも多種多彩なスペイン料理が供される。メニューの多さは、リピーターには嬉しい。また、食事会、仕事帰りの飲み会、男性同士、女性同士、家族でと、様々なシチュエーションに対応可能であるのもありがたく、ここ浦安で13年と長く愛されてきた所以だろうと思う。昼も3種のランチが用意されていて、気軽にパエリアなどを楽しめる。 奇数月の最終日曜日には、フラメンコライブが催される。そのライブ開催も40回を越えたそうで、すっかり定着している。 ファルーカ読者には嬉しい、貸し切りも可能。コンパネなども貸してもらえるそうなので、自主ライブなどを企画してみては? 場所代は不要、1人5000円から2時間。ミニマムフィーの設定があり、夜は平日10万円、金土日は15万円からだが、日曜日のランチ貸切は3万円からとお得。 けっこう地の利の良い浦安、たまに訪ねるのも良いかな、と思える店である。 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− La Picada de tres(ラ ピカーダ デ トレス) 千葉県浦安市当代島1-3-10 TEL:047-355-6209 東京メトロ東西線 / 浦安駅(西口) 徒歩2分 ランチ [日・月〜土]11:00〜15:00(L.O.14:00) ディナー[木・金・土]18:00〜翌05:00(L.O.04:00) [日・月・水]18:00〜翌03:00(L.O.02:00) 定休日:火曜日 ※火曜日定休日ですが、貸切の場合のみ営業。お気軽にお問い合わせください。 ホームページ:https://lapicadadetres.com
フラメンコを踊る者にとって、一番大切な道具は靴だろう。大切な靴と、長く付き合うために欠かせないのが「手入れ」だが、修理可能か?どこに出せば?などの悩みも多いのではないだろうか。 リペアショップアースは、そんな私たちの相談に乗ってくれるありがたい存在だ。27年前に創業、2年ほど経って初めてフラメンコシューズが持ち込まれてからずっと、あらゆる修理に対応しているという。 軽症なものは、「キズを目立たなくする」「滑り止め(ハーフソール)の張り替え」などから「ベルト修理(ベルト自体の交換も可能)」「ベルトのビラゴム交換」「釘修理」なども。あらゆる症例がファイルに記録されていて、その説明を聞きながら、相談にのってもらえる。 重症例は、ちょうど土踏まずのあたりに入っている金具が折れてしまうケース。「靴の背骨が折れるようなもの」というそれも代わりの金具によって補修可能だ。 「靴幅を広げる」対応も可能だが「中敷が滑ってつま先が細い先端に当たり、幅が狭いと感じている」というケースもあるそうで、滑らない革と交換して解決した例もあるとのこと。足の様子を見ながら対応してくれるそうだ。 「フラメンコシューズは長く大事にされるお客様が多く、履き慣れた頃に痛みも出てきます。何でも相談してみてください。『この靴の音が好きだから、どうしても修理したい』というお客様もいらっしゃって、色々と方法を考えながら提案しています。」と店長の佐々木さん。なんともありがたい言葉である。 佐々木さんはもちろん、スタッフの小野さん、永本さんもフラメンコシューズの対応に詳しく「どんなことでもご相談ください。」と心強い。また、他の六本木や日比谷の支店も同様にスタッフが対応可能とのこと。 日頃のケアとして大事なことは「できれば木製のシューキーパーを使うこと。」だそう。「汗などの湿気を吸収し、靴を元の形状に戻します。使い込んで皺になった部分が乾燥し、『破れ』の原因にもなるので長持ちさせるためにもお勧めします。」と佐々木さん。また保管する際、食品の乾燥剤を入れることはNG。乾燥が早過ぎて逆にダメージを与えてしまうそうだ。 「頼りになる相談相手」が見つかった気分である。「これは!」と思った方はぜひ一度、ご相談を! −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− REPAIR SHOP EARTH(リペアショップ アース) http://1995.repairearth.com 〒150-0011 東京都渋谷区東3-25-5 グランドメゾン恵比寿東105 TEL:03-3280-6506 営業時間:平日・土日祝日 11:00~19:00 定休日:なし アクセス:JR山手線 恵比寿駅西口徒歩2分、日比谷線 恵比寿駅 2番出口から徒歩3分 (駒沢通り沿いに店舗があります。)