【寄り道手帖】LA VIÑA

2023.06.30

 La Viña(ラ・ヴィーニャ)とは葡萄畑の意味。月島の駅上にあるバルである。オーナーの河村さんがビルバオのLa Viña del Ensancheという老舗バルを訪れ、「こんなバルをやってみたい!」と思ったのが由来だそう。スペインのみならず各国の酒類が並んだカウンターや、アンティークのシャンデリアが重厚さを演出する。
 そして何より印象深いのが、スタッフの蝶ネクタイ&ベストの正装。キリッとした男性スタッフで迎えられると、昔のバルは男性の社交場だったんだよな、なんてことに想いをはせる。「珍しいですね。」と私が述べると「いやあ、スペインでは普通そうですよ。」と。そういえば、マドリッドやバルセロナの老舗バルのスタッフは、髪に丁寧に櫛を入れ、パリッとしたシャツに蝶ネクタイで働いていたっけ。
 そういう店の料理は、大抵美味しく、居心地も良かったが、La Viñaの料理もまた美味い。メニューもバルというよりはレストランとしてのラインナップである。前菜、焼き物、揚げ物も美味いが、生ハムもシンプルに美味い。パエリアやフィデウアも楽しめる。
 これからはピンチョスにも力を入れるというから、それも楽しみだ。日本でタパス(小皿料理)は浸透したが、ピンチョス(串や楊枝でまとめた料理)はまだ馴染みがあるとは言い難い。スペインで見たそのバリエーションが食せるとしたら、嬉しいことこの上ない。
 また、スペインワインのリストはもちろん豊富だが、シェリー酒がフルラインナップであるのは珍しい。その他、日本のウイスキーやスコッチウイスキー、ブランデーなどもあるのでワインが飲めない人でも大丈夫。個人的に次に試したいのはスペインのカクテル。ベルムーなど、あの店でみんなが飲んでたアレでしょ的な謎が解けそうだ。
 もし訪れたなら、お店のスタッフやオーナーに気軽にぜひ声をかけてみて。美味い食事と酒と、楽しいスペイン談議に花が咲くこと間違いなし、の店なのである。


LA VIÑA(ラ ヴィーニャ)

〒104-0052 東京都中央区月島1-5-2 キャピタルゲートプレイス102
電話:03-5859-0048
https://bar-lavina.com/index.php
営業時間:17:00〜24:00 Food. L.O. 23:00 Drink. L.O. 23:30
定休日:毎週火曜日 第1・第3月曜
総席数:24席 貸切可能人数:19名〜24名
大江戸線、有楽町線 月島駅8A出口からすぐ。清澄通り沿い。