【寄り道手帖】MAQUILA TOKYO

2023.03.31

 マキーラ トウキョウは、赤羽の、賑やかな東口とは反対側、南口から数分の閑静な区画にある一軒家レストランである。
 扉を開けると、広いオープンキッチンと、大きな木のカウンターからなる落ち着きのある空間が、私たちを出迎えてくれる。夜のコースは「お任せ」の1コースのみ。席に着くと、まずは料理に合うワイン選びから。シェフに相談しながらおすすめの1本を選ぶ。シェフは安斎怜さん、セビージャの「マキーラ」で修行を積んだ、気鋭のシェフである。
 スープに始まり、サラダと前菜が2品、魚料理、肉料理、デザートが供されるが、どれもシェフの工夫が感じられる美しいコースだ。
 「スペイン料理といえば、パエリアやアヒージョ、という日本の認識を変えたい、スペインの今を味わって、感じて欲しいんです。」と安斎さん。自ら感じたスペインに、東京の素材との出会いによって、新たな料理を創作するのが、マキーラ トウキョウである。
 例えばサルモレホは、アンダルシアの定番スープだが、春菊とスナップエンドウのサラダのソースとして供されるのが新しい。魚の皿は、マグロにワカモレを添えて。フレッシュなアボガドと、香ばしく焼かれたロメスコスや菜の花の野菜たち、マグロの組み合わせが複雑に混じり合い、美味であった。
 カウンターの向こうでは、シェフが料理をする様子がうかがえる。出来上がった料理についての説明や感想なども、同時進行的に、間断なくシェフと話をすることができる。「美味しい食事をして欲しいし、その話題で楽しい時間を過ごして欲しい」というのがこの店のコンセプトだ。
 使う野菜等は「両親の畑で収穫したものです。」と説明を受けるものも多く、やはり、それは文句なしにうまい。野菜の種類や、調理法、組合せなどについても「驚いた!」「これはいいアイディア」などと、シェフとの話題もはずむ。
 さて、カウンターなので少人数での利用に限るかというと、さにあらず。立食パーティや、貸し切りなどの利用についてもぜひ相談を、とのことである。また、子供連れでの訪問もぜひ申し出を。さらには、食事は他で済ませてしまった、という残念な大人たちのためには、バルとしての二次利用も企画中とのこと。まずは予約時に相談をするのが良さそうだ。
 さて、我々はというと、3人でワイン1本をあけ、果てにはデザートワインまでいただき、美味しい料理と贅沢な時間に、大満足の一夜を過ごしたのでありました。

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マキーラ トウキョウ

東京都北区赤羽西1-17-1-10
TEL:03-4283-7296
営業時間 17:00~21:30(最終入店)
定休日 火曜日
最寄駅 赤羽(JR埼京線・京浜東北線・湘南新宿ライン・東北本線)
予算 6,500円〜(チャージ300円)