★今号の一曲入魂:アレグリアス・サリネーラ Alegrías Salinera フランスからナポレオンの軍隊が攻め入り、北部アラゴンは戦場になった。それを契機にまだしも平穏だったカディスに移り住んだ人びとは、郷里の踊りや歌を懐かしんで演じた。アラゴンの名物といえば、まずはホタ。笑顔と涙が同居すると言われるホタは、たちまちカディスの風土に馴染み、ホタ・デ・カディスとして広まった。やがてそれが土地の踊りや歌と合体し、アレグリアスとなったが、ティリティトラン…という定番のサリーダはどこかホタのメロディを想起させるし、踊りのアレグリアスに差し挟まれるシレンシオ(沈黙)のパートは、ホタの“涙”の象徴かも…など、想像をかきたてられる。アレグリアスの歌詞は8音節4行だが、2行目から歌い始めるスタイル(例外あり)も、韻の踏みかたもホタと同じ。実はさりげなく、先祖の遺産を残しているのだ。カディスの真珠と呼ばれた名歌手が歌ったアレグリアスは、一名「塩田のアレグリアス」。いかにも塩の香りのする、粋なひとふしだ。▶Perla de Cádiz https://youtu.be/hfmwGGAmxw0?si=kS4pxP38W9kN7Bf2 ★厳選!その他の主要なソレアより 〈アレグリアス〉 カディスを代表する歌い手、アウレリオ・デ・カディスが歌ったカディス賛歌。三方を海に囲まれたカディスを聖遺物箱にたとえ、守護聖母であるロサリオの聖母も登場する。短いなかにふるさとカディスへの愛情が凝縮されている。▶Aurelio de Cádiz https://youtu.be/-_X4E9SH4_s?si=sTvoFdgKTbXTo-K- 〈アレグリアス〉 カディス県出身でなくとも、アレグリアスは多くのアーティストによって演じられてきた。20世紀の大カンタオーラ、ニーニャ・デ・ロス・ペイネス然り。中には、アレグリアスのルーツを彷彿させる北部地方の地名がちりばめられた歌詞もあり、興味深い。▶Niña de los Peines https://youtu.be/Rz42ktPLAKw?si=oN6BjKaaA7HTMLgw
★今号の一曲入魂:ソレア・デ・アルカラ Soleá de Alcalá ソレアと言えば、踊りの定番ともなっているのがソレア・デ・アルカラ。「アルカラ」の名は、セビージャ南東15キロに位置するアルカラ・デ・グアダイラに由来する。根っこにはパキリ・エル・グアンテやエンリケ・エル・メジーソのカディスのソレアがあるが、アルカラのソレアとしての格調と抜群の存在感は、20世紀に活躍した歌い手ホアキン・エル・デ・ラ・パウラが与えた。ここでは、踊り歌にもよく使われるソレア・デ・アルカラをご紹介する。一連目は、町に残るアラブ式の古城に、明け方ホアキン・エル・デ・ラ・パウラの声がこだまするというロマンティックな物語。踊り歌に使われる場合のパターンを《 》で記した。本来は8音節4行詩だが、繰り返しに伴って言い回しが少し変化したりしているところがいかにもフラメンコ。踊りの場合は通常この後テンポが上がり、ファルセータ、エスコビージャ、振付によってはソレア・ポル・ブレリアやロマンセなどを挟み、ブレリアになって終わるのがスタンダード(これ以後に紹介するレトラも同様)。▶El Alcángel https://youtu.be/FDzKGW_WuVE?si=Z3UsUlbRHwjTrSjX ★厳選!その他の主要なソレアより 〈ソレア・デ・トリアナ Soleá de Triana〉 かつてヒターノ地区と呼ばれたセビージャのトリアナ地区。グアダルキビール河をはさんで、大聖堂やマカレナ地区、闘牛場などと向かい合う趣きある一角だ。ここで育まれたソレア・デ・トリアナは独特の雄渾さと濃さをたたえ、そのエネルギーで人びとを魅了している。▶Manuel de la Tomasa https://www.facebook.com/share/v/Xcm4LnELyCuQduXA/ 〈ソレア・デ・カディス Soleá de Cádiz〉 さきのソレア・デ・トリアナとは対照的に、優しげで女性的な表情を持つソレア。エル・メジーソらが歌ったものが有名だが、しっとりとした中にも深い情感がこもり、アルカラのソレアと並んで踊り歌に使われる場合も少なくない。▶Tomas Pavón https://youtu.be/BNwPLO9XGE8?si=Em_mgtaiC81tKHO