★今号の一曲入魂:タンゴ・デ・パストーラ 全部通してでなくとも、パストーラ・パボンことニーニャ・デ・ロス・ペイネスが歌ったこのタンゴ、部分的に知っている人も多いのではなかろうか。「バルセロナからバレンシアへ、バレンシアからセビージャへ……」という、フラメンコではあまり馴染みのない地名が並ぶ歌詞、おそらくティエントのハケ歌で定番の「カラバシタ、カラバソン(訳は和訳欄をご参照)」というリフレイン……しかしやはり名高いのが、謎のフレーズ「アル・グルグー」だろう。 オリジナリティ溢れるフレーズを生み出すことで知られるニーニャ・デ・ロス・ペイネスだが、実は「アル・グルグー」に関しては、先駆者がいる。彼女が敬愛した先達ニーニョ・メディーナの歌った、「グアダラーマの峠へと、登り登ってゆかねばならぬ」というフレーズで始まるホタ。前回取り上げたように、ホタはアレグリアスの元になった北部アラゴン州の民謡だが、このホタの中に、「アル・グルグー」というリフレインが登場しているのだ。こうした“芸の継承”もあるから、フラメンコはおもしろい。▶Niña de los Peines https://youtu.be/JswjdH7Yrwk?si=UhhQ6z6HVG2AX67V De Barcelona a Valencia,de Valencia pa Sevilla《レマーテ》De Barcelona a Valencia,de Valencia pa Sevillaestá regla la gitanacantando por seguiriyas;al gurugú,al gurugú, al gurugú.Mi marío no está aquí,que está en la guerra de Francia;《レマーテ》Mi marío no está aquí,que está en la guerra de Francia;buscando con un candila una pícara mulata;al gurugú,al gurugú,al gurugú.Debajito del puente sonaba el agua;eran las lavanderas,las panaderas,cómo lavaban.No te metas en quereles,porque se pasan muchas fatigas;mira si vivo con penaque estoy muerta estando viva.《スビーダ》Calabacita, calabazón;a este bichito lo mato yo.Si quieres que te quieradame doblones, dame doblones;son monedas que alegrana los corazones.Que te calles, que te calles;que te tengo tapaítas cositas que nadie sabe.Mi mare me dijo a míque un querer de poquito tiempono le criaba raíz.バルセロナからバレンシアへバレンシアからセビージャへ《レマーテ》バルセロナからバレンシアへバレンシアからセビージャへジプシー女はちゃくちゃく進むセギリージャ歌いながらアル・グルグーアル・グルグーアル・グルグーあたしの亭主はここにはいないフランスの戦に行ってるの《レマーテ》あたしの亭主はここにはいないフランスの戦に行ってるのカンテラ掲げて性悪の混血娘を探してるアル・グルグーアル・グルグーアル・グルグー橋の下を音を立てて川が流れるあれは洗濯女たちパン焼きの女たちせっせと洗うこと恋愛沙汰はよしときな厄介事ばかりなんだからあたしの苦労をご覧なさいなまるで行ける屍よ《スビーダ》ズッキーニ、デカかぼちゃこの虫やっつけちゃわなくちゃ愛してほしいならカネをちょうだい心を充たしてくれるのはやっぱりおカネなんだからお黙り、お黙りよあんたが知られたくないことにはフタをしてあげるから母さんがあたしに言った一目惚れの恋なんて長続きしないって ★厳選!その他の主要なタンゴより 〈タンゴ・デ・ラ・レポンパ〉 単体で歌われるほか、タラントの後歌にもよく用いられるこのタンゴ。タンゴ・デ・グラナダと混同されたりもするが、こちらはマラガ出身のレポンパ・デ・マラガが歌ったもの。キレのある歌いっぷりがなんとも小気味よい。▶la Repompa de Málaga https://youtu.be/rCRnerPTsCc?si=hCgr8W_adKsssta7 Te roneas porque valestú eres la piedra más chicade la acera de mi calle. La que quiera madroñosvaya a la sierraay ole morena, vaya a la sierra,porque se están secandosus madroñerasay ole morena, sus madroñeras En el cristal de mi copatu cara se refreóay aquel poco del licorque me llevé a la bocade veneno me sirvió.Mienten como hay Dios. Pónte guapa, Mariquillate voy a llevar esta tardea la feria de Sevilla. Dios míoDios míoDios mío. Dios mío, dame paciencia. Pa' bregar con este gitanitoMe falta la resistencia. Que tenga rejas de broncela cárcel que a mi me lleveque tenga rejas de bronceay, para cuando vengas a vermeque de mi cuerpo no goces.値打ちがあるとおまえは自慢するおまえなんか、うちの通りのいちばんちっぽけな敷石なのに ヤマモモが欲しいなら山に行くこったアイ、オレ、モレナ、山へ行くこった乾かしてるからヤマモモの実をさアイ、オレ、モレナ、ヤマモモの実をさ あたしのグラスにあんたの顔が映ったさあたしが口に含んだほんのわずかなお酒があたしにゃ毒になったのさバカみたいな話さね きれいにしときな、マリキージャ今夜連れてってあげるからセビージャのフェリアにさ 神さま神さま神さま 神さま、根気をくださいなこのヒターノとタメ張るだけの根性ってやつが足りないの 青銅の鉄格子のはまったあたしが入るだろう監獄で青銅の鉄格子のはまったああ、あんたがあたしに逢いにきたってあたしのカラダを楽しめないように 〈タンゴ〉 カンテ・ヒターノの名手フアナ・ラ・デル・レブエロが歌って流行らせたこのタンゴは、典型的なタンゴ・カナステロ(かご作り=ジプシーのタンゴ)。ナイナイ……というリフレインでも親しまれ、皆で歌って盛り上がるタンゴの好例になった。▶Juana la del Revuelo https://youtu.be/6eld9Gvz2A8?si=emkcsspNobBxl35R (*bis)Nay nay nay nay nay nay nay naynay nay nay nay nanay nay nay nay nay nana nay nananay nana nay nana Ay no me pegues bocaitosque tú me haces cardenalesque cuando yo voy a mi casaa mi me lo nota mi mare.Tú no me pegues bocaitosque tú me haces cardenales. (*bis) Nací donde quisó Diosmi cuna fue una canastaa la orillita del ríocriaíto con gitanito de mi casta.Ay yo no quiero más herenciauna guitarra, un panderoun borriquiyo, un calderoy arriba la Providencia. La fragua de mi gitanose ha hecho un agujeroy la tiene que encendersoplando con el sombrero, ay ay. (*bis) Osús, qué lachi me dauna miraíta tuyayo me pongo colorá. (*bis×2)(リフレイン)ナイ、ナイ、ナイ、ナイ、ナイ、ナイ、ナイ、ナイナイ、ナイ、ナイ、ナイ、ナナイ、ナイ、ナイ、ナイ、ナイ、ナナ、ナイ、ナナナイ、ナナ、ナイ、ナナ 唇くっつけないでよね赤いしるしが付くじゃないのあたしが家に帰ったら母さんが気づくじゃないの唇くっつけないでよね赤いしるしが付くじゃないの (リフレイン) 神さまの望む土地に生まれたのカゴがあたしの揺りかごだった河のほとりで一族のヒターノと育ったわ財産なんてもういらないわギター1挺、タンバリンひとつロバ1頭に鍋ひとつ天に御神があればいい あたしのヒターノの鉄床ってば穴があいてしまったの帽子で息を吹きかけて火をつけないといけないの (リフレイン) イエスさま、恥ずかしいったらありゃしないあんたの眼差しに赤くなっちゃう、あたし (リフレイン×2)
★今号の一曲入魂:アレグリアス・サリネーラ Alegrías Salinera フランスからナポレオンの軍隊が攻め入り、北部アラゴンは戦場になった。それを契機にまだしも平穏だったカディスに移り住んだ人びとは、郷里の踊りや歌を懐かしんで演じた。アラゴンの名物といえば、まずはホタ。笑顔と涙が同居すると言われるホタは、たちまちカディスの風土に馴染み、ホタ・デ・カディスとして広まった。やがてそれが土地の踊りや歌と合体し、アレグリアスとなったが、ティリティトラン…という定番のサリーダはどこかホタのメロディを想起させるし、踊りのアレグリアスに差し挟まれるシレンシオ(沈黙)のパートは、ホタの“涙”の象徴かも…など、想像をかきたてられる。アレグリアスの歌詞は8音節4行だが、2行目から歌い始めるスタイル(例外あり)も、韻の踏みかたもホタと同じ。実はさりげなく、先祖の遺産を残しているのだ。カディスの真珠と呼ばれた名歌手が歌ったアレグリアスは、一名「塩田のアレグリアス」。いかにも塩の香りのする、粋なひとふしだ。▶Perla de Cádiz https://youtu.be/hfmwGGAmxw0?si=kS4pxP38W9kN7Bf2 Que no te la has daíto entendertengo una queja contigoque no te la has daíto entenderque pa poder yo hablar contigome valgo de mi saber.《ファルセータまたはエスコビージャ》Y si no te veo dobleme da penita si te veoY si no te veo dobleque no siento más alegríaque cuando mientan tu nombre.Cuando te vengas conmigo,¿qué a dónde me vas a llevar?¿que a darme una vueltecitapor la muralla real?《ファルセータまたはエスコビージャ》Ni en la España ni en Italiani en lo que cobijaba el solni en la España ni en Italiay has de encontrar una flamencaque te quiera como yo.Cai de mis entrañascuanto te quieroque eres lo más bonitodel mundo entero.あんたはわかってくれやしないあんたに不満はあるけれどあんたはわかってくれやしないあんたと話をつけるためあたしは智恵をめぐらすの逢わなきゃ倍もつらくなるあんたと逢うのはつらいけど逢わなきゃ倍もつらくなるみながあんたの噂をすればそれが何より幸せよあんた、一緒に来るのならあたしをどこに連れてくの?市壁に添ってひとめぐり散歩ってとこかしら?スペインにだってイタリアにだってお天道さまの下じゅう見たってスペインにだってイタリアにだってあたしほどあんたを好きなフラメンカには会えやしないわ何より愛しいあたしのカディスどれだけあんたが好きかしらだってあんたは世界いち素敵なところなんだから ★厳選!その他の主要なソレアより 〈アレグリアス〉 カディスを代表する歌い手、アウレリオ・デ・カディスが歌ったカディス賛歌。三方を海に囲まれたカディスを聖遺物箱にたとえ、守護聖母であるロサリオの聖母も登場する。短いなかにふるさとカディスへの愛情が凝縮されている。▶Aurelio de Cádiz https://youtu.be/-_X4E9SH4_s?si=sTvoFdgKTbXTo-K- Que le llaman relicarioa Cai no le llaman Caique le llaman relicarioporque tenemos por patronaya la Virgen del Rosarioporque por patrona tenemosya la Virgen del Rosario.聖なる小箱と呼ばれるよカディスはカディスと呼ばれずに聖なる小箱と呼ばれるよなぜなら街を護るのはかのロサリオの聖母さまなぜって街を護るのはかのロサリオの聖母さま 〈アレグリアス〉 カディス県出身でなくとも、アレグリアスは多くのアーティストによって演じられてきた。20世紀の大カンタオーラ、ニーニャ・デ・ロス・ペイネス然り。中には、アレグリアスのルーツを彷彿させる北部地方の地名がちりばめられた歌詞もあり、興味深い。▶Niña de los Peines https://youtu.be/Rz42ktPLAKw?si=oN6BjKaaA7HTMLgw Yo le di un duro al barqueropor pasar el Ebro a vertey yo le di un duro al barquerolos amores de Navarrason caros pero muy buenos船頭に1ドゥーロ払ったよあんたに逢いにエブロの河を渡るため船頭に1ドゥーロ払ったよナバラで恋をすることは高くはつくが善いものさ
★今号の一曲入魂:ソレア・デ・アルカラ Soleá de Alcalá ソレアと言えば、踊りの定番ともなっているのがソレア・デ・アルカラ。「アルカラ」の名は、セビージャ南東15キロに位置するアルカラ・デ・グアダイラに由来する。根っこにはパキリ・エル・グアンテやエンリケ・エル・メジーソのカディスのソレアがあるが、アルカラのソレアとしての格調と抜群の存在感は、20世紀に活躍した歌い手ホアキン・エル・デ・ラ・パウラが与えた。ここでは、踊り歌にもよく使われるソレア・デ・アルカラをご紹介する。一連目は、町に残るアラブ式の古城に、明け方ホアキン・エル・デ・ラ・パウラの声がこだまするというロマンティックな物語。踊り歌に使われる場合のパターンを《 》で記した。本来は8音節4行詩だが、繰り返しに伴って言い回しが少し変化したりしているところがいかにもフラメンコ。踊りの場合は通常この後テンポが上がり、ファルセータ、エスコビージャ、振付によってはソレア・ポル・ブレリアやロマンセなどを挟み、ブレリアになって終わるのがスタンダード(これ以後に紹介するレトラも同様)。▶El Alcángel https://youtu.be/FDzKGW_WuVE?si=Z3UsUlbRHwjTrSjX Levántate tempranitoal castillo quiero subir 《レマーテ》yo quería subir al castilloal castillo quiero subirme han dicho que con el albase oye el eco de Joaquínse oye el eco de Joaquínde Joaquín el de la Paula.Por el hablar de la genteolvidé yo a quien bien quería 《レマーテ》olvidé yo a quien bien queríaolvidé yo a quien bien queríamientras yo viva en el mundose me acabó la alegría.mientras yo viva en el mundose me acabó la alegría.朝、ちょいと早起きしてごらん城へと登りたいおれさ 《レマーテ》城へと登りたかったのさ城へと登りたいおれさなぜなら夜の明け方にホアキンのこだまが聞こえるとやらホアキンのこだまが聞こえるとやらホアキン・エル・デ・ラ・パウラのさ人の口車に乗せられて深く愛した人を棄てたよ 《レマーテ》深く愛した人を棄てたよ深く愛した人を棄てたよこの世に生きているうちは喜びはもうなくていいこの世に生きているうちは喜びはもうなくていい ★厳選!その他の主要なソレアより 〈ソレア・デ・トリアナ Soleá de Triana〉 かつてヒターノ地区と呼ばれたセビージャのトリアナ地区。グアダルキビール河をはさんで、大聖堂やマカレナ地区、闘牛場などと向かい合う趣きある一角だ。ここで育まれたソレア・デ・トリアナは独特の雄渾さと濃さをたたえ、そのエネルギーで人びとを魅了している。▶Manuel de la Tomasa https://www.facebook.com/share/v/Xcm4LnELyCuQduXA/ Los cuatro puntalitoslo que sostienen a Triana 《レマーテ》que sostienen a Trianalo que sostienen a TrianaSan Jacinto y Los Remediosla O y Seña Santa AnaSan Jacinto y Los Remediosla O y Seña Santa Ana.トリアナを護る4柱とくれば 《レマーテ》トリアナを護るトリアナを護るサン・ハシント、レメディオスラ・オーにサンタ・アナサン・ハシント、レメディオスラ・オーにサンタ・アナ 〈ソレア・デ・カディス Soleá de Cádiz〉 さきのソレア・デ・トリアナとは対照的に、優しげで女性的な表情を持つソレア。エル・メジーソらが歌ったものが有名だが、しっとりとした中にも深い情感がこもり、アルカラのソレアと並んで踊り歌に使われる場合も少なくない。▶Tomas Pavón https://youtu.be/BNwPLO9XGE8?si=Em_mgtaiC81tKHO A mi mare de mi almalo que la camelo yo 《レマーテ》lo que yo quiero a mi marelo que la camelo yoporque la tengo presentemetía en el corazón.A mi mare de mi almalo que la camelo yo.わが魂のおっ母さんどれほど愛しいことだろう 《レマーテ》どれほど好きなおっ母さんどれほど愛しいことだろういつでもここにいるかのように心にしかと抱いているのさわが魂のおっ母さんどれほど愛しいことだろう