【濱田吾愛のEsencia del Cante】第3回 タンゴ

2026.10.1

★今号の一曲入魂:タンゴ・デ・パストーラ

 全部通してでなくとも、パストーラ・パボンことニーニャ・デ・ロス・ペイネスが歌ったこのタンゴ、部分的に知っている人も多いのではなかろうか。「バルセロナからバレンシアへ、バレンシアからセビージャへ……」という、フラメンコではあまり馴染みのない地名が並ぶ歌詞、おそらくティエントのハケ歌で定番の「カラバシタ、カラバソン(訳は和訳欄をご参照)」というリフレイン……しかしやはり名高いのが、謎のフレーズ「アル・グルグー」だろう。
 オリジナリティ溢れるフレーズを生み出すことで知られるニーニャ・デ・ロス・ペイネスだが、実は「アル・グルグー」に関しては、先駆者がいる。彼女が敬愛した先達ニーニョ・メディーナの歌った、「グアダラーマの峠へと、登り登ってゆかねばならぬ」というフレーズで始まるホタ。前回取り上げたように、ホタはアレグリアスの元になった北部アラゴン州の民謡だが、このホタの中に、「アル・グルグー」というリフレインが登場しているのだ。こうした“芸の継承”もあるから、フラメンコはおもしろい。
▶Niña de los Peines  https://youtu.be/JswjdH7Yrwk?si=UhhQ6z6HVG2AX67V


★厳選!その他の主要なタンゴより

〈タンゴ・デ・ラ・レポンパ〉

単体で歌われるほか、タラントの後歌にもよく用いられるこのタンゴ。タンゴ・デ・グラナダと混同されたりもするが、こちらはマラガ出身のレポンパ・デ・マラガが歌ったもの。キレのある歌いっぷりがなんとも小気味よい。
▶la Repompa de Málaga https://youtu.be/rCRnerPTsCc?si=hCgr8W_adKsssta7

〈タンゴ〉

カンテ・ヒターノの名手フアナ・ラ・デル・レブエロが歌って流行らせたこのタンゴは、典型的なタンゴ・カナステロ(かご作り=ジプシーのタンゴ)。ナイナイ……というリフレインでも親しまれ、皆で歌って盛り上がるタンゴの好例になった。
▶Juana la del Revuelo https://youtu.be/6eld9Gvz2A8?si=emkcsspNobBxl35R