【寄り道手帖】Rosicler(ロシクレール)

2024.10.1

 

 ロシクレールとは、朝焼けの淡いピンクを意味する。ピンクの空の色が、海に映る風景をイメージして、店名を名付けたそうだ。カウンター席の壁の色は、それを思わせるようなピンクで、間接照明が幻想的な気分を演出している。
 牛込柳町の交差点から1本入った、小さな通りにあり、住宅街の落ち着いた雰囲気の中、ゆったりとした気分で食事をすることができる。
 オーナーシェフの大野さんは、もう一軒、東中野にスペインバル「アスタルエゴ」のオーナーでもある。両店とも少し静かな住宅街にあり、立地的な環境は類似しているという。大きな違いは、何より「ロシクレール」が魚介専門のスペイン料理であるところだろう。
 その由縁の一つは、大野さんが学生の頃からスペインに魅せられ、特にガリシア地方に魅力を感じていたこと。もう一つは、アスタルエゴのシェフの出身地でもあった、能登の魚介に魅せられたから。「魚介はもとより、能登には他にも美味しい食材がたくさんあるんです。」と語る大野さんは、とても楽しそうである。「ロシクレール」のロゴも「タコ」を思わせるRの文字がデザインされている。
 メニューも、こんなにたくさんの魚介の楽しみ方があったのか!と思うほどのバリエーションである。「海のチーズとハム」という一品もカラスミと魚のハムの組み合わせだ。馴染みのあるプランチャ(鉄板焼き)やアヒージョ、カルドソ(おじや)なども存分に季節の魚介を楽しめる。大野さんによれば、彼の料理はスペインと日本の融合「エスパニョーラ」ならぬ「ハポニョーラ」であるという。私たちにとっては一皿一皿が美しい、新しい魚介のスペイン料理との出会いではなかろうか。
 昨年10月にオープン、その後に能登半島地震が起きた。少しでも復興になれば、との想いを語る大野さん。「『能登牛』などもとても美味しい。『カルネリア(肉専門レストラン)』としてもやってみたいと思う。できたらですが(笑)」とのこと。夢と想いの融合だ。私たちも復興と、夢がいつか実現することを願って、応援したいと思うのである。


Rosicler(ロシクレール)

東京都新宿区市谷柳町25‐11 F&Ssビル 1F
営業時間:
水・木・金・祝前日・祝後日 17:00 – 23:00(L.O.料理22:00 ドリンク22:30)
土・日・祝日 12:00 – 15:00(L.O. 14:30)、17:00 – 23:00(L.O. 料理22:00 ドリンク22:30)
定休日:月・火
T E L:03-6457-5996
https://www.instagram.com/rosicler_1025/