【寄り道手帖】ペインバル トロンパ

2021.10.8

 

 

 世田谷の経堂は、住宅地であり、学生の多い町でもある。農大通り商店街は人通りも多く飲食店の出店も多い。そんな町に一軒のスペインバルができて7年になる。名前は「トロンパ」。スペイン語のスラングで「よっぱらい」を意味するそうだ。
店内は、カウンターのみの立ち呑みスタイル。渡西した際、すっかりスペインバルに魅せられた店主の野村さん、自分の店で「スペインバルの魂」を再現したかったのだという。隣り合わせた客同士、ちょっとしたきっかけで声をかけやすいし、偶然聞こえてきた話に、応えることもできる。新しい出会いが生まれ、人と人がつながる。本来バルとは、人が集まり作る「場所」なのだろう。  もちろん、必要な人のために椅子の用意はあるのとのことなので、店主にこっそり声かけを。
料理はスペインバルで見かける、スタンダードなものばかり。野村さんは35歳で広告の世界から転職、都内のスペインレストランで修行し、スペインでは大好きなバルを食べ歩いたという。  「提供する料理の味がブレないよう、たまにスペインに行っては微調整している」という言葉通り、その味は私たちが思い描くスペインの味だ。どのタパスもおいしいが、一番人気は「マッシュルームの鉄板焼き」だそう。
人とのつながりを作るための工夫として、野村さんが実践していることに「メルマガ」がある。ホームページから会員登録をすると、店主のメルマガが送られてくる他、タパスのサービスなどを受けることができる、お楽しみ付きだ。このメルマガ、なかなかに読み応えがある。テーマは店主の日常から、スペインの話、経堂の町の話まで多種多彩。外出自体、機会が減らされているコロナ禍にあっては特に、そんな繋がりがありがたいと感じる。
店内には「ようこそ!パスポートの要らない東京のスペインへ」のキャッチフレーズが。言葉通り、経堂に「スペイン」を感じに出掛けてはいかがだろうか。