【濱田吾愛のEsencia del Cante】第2回 アレグリアス
2026.07.1
★今号の一曲入魂:アレグリアス・サリネーラ Alegrías Salinera
フランスからナポレオンの軍隊が攻め入り、北部アラゴンは戦場になった。それを契機にまだしも平穏だったカディスに移り住んだ人びとは、郷里の踊りや歌を懐かしんで演じた。アラゴンの名物といえば、まずはホタ。笑顔と涙が同居すると言われるホタは、たちまちカディスの風土に馴染み、ホタ・デ・カディスとして広まった。やがてそれが土地の踊りや歌と合体し、アレグリアスとなったが、ティリティトラン…という定番のサリーダはどこかホタのメロディを想起させるし、踊りのアレグリアスに差し挟まれるシレンシオ(沈黙)のパートは、ホタの“涙”の象徴かも…など、想像をかきたてられる。アレグリアスの歌詞は8音節4行だが、2行目から歌い始めるスタイル(例外あり)も、韻の踏みかたもホタと同じ。実はさりげなく、先祖の遺産を残しているのだ。カディスの真珠と呼ばれた名歌手が歌ったアレグリアスは、一名「塩田のアレグリアス」。いかにも塩の香りのする、粋なひとふしだ。
▶Perla de Cádiz https://youtu.be/hfmwGGAmxw0?si=kS4pxP38W9kN7Bf2
| Que no te la has daíto entender tengo una queja contigo que no te la has daíto entender que pa poder yo hablar contigo me valgo de mi saber. 《ファルセータまたはエスコビージャ》 Y si no te veo doble me da penita si te veo Y si no te veo doble que no siento más alegría que cuando mientan tu nombre. Cuando te vengas conmigo, ¿qué a dónde me vas a llevar? ¿que a darme una vueltecita por la muralla real? 《ファルセータまたはエスコビージャ》 Ni en la España ni en Italia ni en lo que cobijaba el sol ni en la España ni en Italia y has de encontrar una flamenca que te quiera como yo. Cai de mis entrañas cuanto te quiero que eres lo más bonito del mundo entero. | あんたはわかってくれやしない あんたに不満はあるけれど あんたはわかってくれやしない あんたと話をつけるため あたしは智恵をめぐらすの 逢わなきゃ倍もつらくなる あんたと逢うのはつらいけど 逢わなきゃ倍もつらくなる みながあんたの噂をすれば それが何より幸せよ あんた、一緒に来るのなら あたしをどこに連れてくの? 市壁に添ってひとめぐり 散歩ってとこかしら? スペインにだってイタリアにだって お天道さまの下じゅう見たって スペインにだってイタリアにだって あたしほどあんたを好きな フラメンカには会えやしないわ 何より愛しいあたしのカディス どれだけあんたが好きかしら だってあんたは世界いち 素敵なところなんだから |
★厳選!その他の主要なソレアより
〈アレグリアス〉
カディスを代表する歌い手、アウレリオ・デ・カディスが歌ったカディス賛歌。三方を海に囲まれたカディスを聖遺物箱にたとえ、守護聖母であるロサリオの聖母も登場する。短いなかにふるさとカディスへの愛情が凝縮されている。
▶Aurelio de Cádiz https://youtu.be/-_X4E9SH4_s?si=sTvoFdgKTbXTo-K-
| Que le llaman relicario a Cai no le llaman Cai que le llaman relicario porque tenemos por patrona ya la Virgen del Rosario porque por patrona tenemos ya la Virgen del Rosario. | 聖なる小箱と呼ばれるよ カディスはカディスと呼ばれずに 聖なる小箱と呼ばれるよ なぜなら街を護るのは かのロサリオの聖母さま なぜって街を護るのは かのロサリオの聖母さま |
〈アレグリアス〉
カディス県出身でなくとも、アレグリアスは多くのアーティストによって演じられてきた。20世紀の大カンタオーラ、ニーニャ・デ・ロス・ペイネス然り。中には、アレグリアスのルーツを彷彿させる北部地方の地名がちりばめられた歌詞もあり、興味深い。
▶Niña de los Peines https://youtu.be/Rz42ktPLAKw?si=oN6BjKaaA7HTMLgw
| Yo le di un duro al barquero por pasar el Ebro a verte y yo le di un duro al barquero los amores de Navarra son caros pero muy buenos | 船頭に1ドゥーロ払ったよ あんたに逢いにエブロの河を渡るため 船頭に1ドゥーロ払ったよ ナバラで恋をすることは 高くはつくが善いものさ |