【寄り道手帖】スペインバルKocco

2023.09.29

 JR阿佐ヶ谷駅、北口アーケード街を通り抜けてすぐの場所に「Kocco(コッコ)」というスペインバルがある。
 カウンター席とテーブル席が2つほどの、こじんまりした、しかし落ち着いて料理と会話を楽しめる居心地の良い店である。
 スペインバルのオーソドックスなメニューのほか、「みょうがのピクルス」など日本の素材を使ったり、定番のトルティージャに加え、旬の食材のキッシュなど、ちょっとしたビストロ風アレンジも効いている。一皿の量はさほど多くないがリーズナブル。故に色々な料理を楽しめる。
 ワインもグラス、カラフェ、ボトルが選べ、ボトルの価格帯は抑えられている印象。一方でシェリーやスペインカクテル、カヴァ、ハイボールにシードルと広い選択肢が用意されている。
 オーナーシェフの深澤さんは、スペインバルでのアルバイトに始まり、長年三鷹のスペインバルの店長を任されていた生粋のスペイン料理のシェフである。いよいよ自分の店をと独立を考えていたちょうどその頃、コロナの第一波が始まったという。
 「最初は様子を見ながら店舗を探しました。ここは、2人でお店を切り盛りするのにちょうど良い大きさだったので。」と阿佐ヶ谷にオープンすることを決めた。
 オープン当初からテイクアウトを提供。また、お好みの3種を選べる「おひとりさま限定前菜盛り合わせ」などもあり、1人でも会社帰りに立ち寄りやすい。
 「『スペインバルを日常に』と思ってやっています。」と深澤さん。その気持ちは伝わるようで、私の同行者も「こんなバル近所にあったらいいのに。」と呟いていた。
 11月で3年目というこのお店、秋になれば秋刀魚のコンフィや、それを使ったパエリアなども予定しているというから楽しみだ。
 奥様の描いた、かわいい「にわとり」のロゴが目印。丁寧に作られた料理と、ワイン、そして何よりお二人の人柄が店の居心地の良さを創りだしている。また、行きたいと思うスペインバルなのである。


スペインバルKocco(コッコ)

東京都杉並区阿佐谷北2-15-2
TEL:03-3223-6991
営業時間:
店内 17:00〜23:00(ラストオーダー22:00)
テイクアウト 17:00〜23:00
日曜営業